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平成二十二年総務委員会速記録第八号|東京都議会(宮台真司)(6/6)

〇西崎委員 きょうはどうもありがとうございます。

 私は、宮台先生とは十数年前にお会いして、子育て論を伺ったことがあるんですけれども、先生は今、大学生とも接していらっしゃる。そして地域でお子さん二人を育てていらっしゃる親の立場でもあると思うんですけれども、今までのやりとりを聞いていますと、先生は条例改正には反対というお考えだと思うんですが、先日、毎日新聞のコラムの中に、やはり今回の健全育成の問題はいろいろなところに波及をしていて、いろいろこのことについて批評なさる方がいらっしゃるんですが、斎藤環さんという精神科医の先生が、やはり改正には反対ということで書いていらっしゃいました。

 その最後の文章に、メディアにおける性暴力も、見せなければ済むという問題ではない、条例改正といった環境調整だけでは健全育成には不十分だ、人を育てるのは法律や環境ではなく、やはり人でしかないということ、この常識が風化したときに、倫理の伝統は途絶えるほかないだろうと、こう書かれてあったのがすごく印象に残ったので、きょうご紹介させていただいたんですが、まさに宮台先生がおっしゃっている考え方と同じではないかと思うんです。

 しかし実際、親としては大変心配されるところも多くあると思うんですが、どうこれからの社会を??先生が、条例を改正しないで、親子でコミュニケーションを図っていくということをおっしゃっていますけれども、具体的にはなかなか難しい問題もあるんじゃないかと思うんですが、その辺のお考えを……。

〇宮台参考人 何が社会的逸脱であるのかというのは、社会的なファクターと主観的なファクターと両方あるんですね。明らかに、例えば人権の両立可能性や共通基盤を侵害するような逸脱もあれば、社会は多様だから、あるいは多様だけれども、自分はその多様性の一部は受け入れられないというタイプの、そういう受け入れられなさもあるんですね。つまりそこから生じる主観的な逸脱というカテゴリーもあるんです。

 我々、僕や、私も親しい斎藤環さんが懸念するのは、単に個人の主観的ないし実存的な判断にすぎない、自分には受け入れられないというこのカテゴリーが、直ちに社会的なカテゴリーに昇格してしまう可能性なんですね。

 世の中にはいろんな人間がいるんですよ。いろんな人間がいること自体は反社会的でも何でもないんですね。しかし、いろんな人間の中には、その人間の立ち居振る舞い、生活のスタイルが自分には受け入れられないものがあるでしょう。それを封殺するべきですか。それは違うでしょうと。特に親が子どもを育てる場合には、親と子どもは違います。親と子どもの実存が重なる可能性はありません。子どもは違ったフレームを持つ大人に育っていきます。そのときに、自分には受け入れられないけれどもこういうものが社会にあるんだ、それについておまえはどう考えるのか聞かせてくれ。親だったらこういうべきではありませんか。

 自分には受け入れられないけれども、君はこれを受け入れられるのか。一応合法的だけれども、僕は嫌だ、でも君は大丈夫なのか。どうして大丈夫なんだ。つまり、こういうコミュニケーションを通じて、社会性と、社会性が許容する多様性と、両方に対する感受性が開かれると思うんですね。斎藤環さんが推奨しているのはそういうことです。

 逆に、たかだか、個人の狭い、あるいは短い人生の中で培ってきた実存をベースに、自分が受け入れられないものをすべて反社会的であるかのように考えて、行政の呼び出し線を使うなどという恥ずべきことはするべきではない。そういうことです。

〇西崎委員 これまで東京都は青少年の健全育成条例があって、先ほどもおっしゃっていましたけれども、不健全図書については指定もしてきていますし、地域では、東京都から委託を受けた青少年協力員の方が地域を回りながら、その実態というところを東京都に報告しているという話を、今回も地域の中でいろいろ調べていただきました。先ほど先生が、表現規制をしていくと、やはり市民にわかりにくくなるというふうにおっしゃっていたんですが、私はやっぱり、行政が条例をつくって、何か、強制的に排除していくのではなく、やはり市民がそれをチェックしていく機能が重要になってくると考えるんですが、その点はいかがでしょうか。

〇宮台参考人 おっしゃるとおりですね。

 とにかく下から議論を起こしていくことが大切で、その意味では今回の条例改正案は私は不適切だと思いますけれども、しかし、社会学では、遂行的には、というふうにいいますが、結果として人々に議論のチャンスを与えているという意味では、これを我々は利用しない手はないだろうというふうに考えています。

 今回の条例は下からの意見で起こってきたものではありません。PTAの関係者の方々に聞いても、こういう条例があるということがPTAにサウンドされた形跡はなく、大半のPTAはそういう条例案の存在すら知りません。恐らく、ぶっちゃけ、いってしまえば、一部のお役人さんたちの、何とか官僚といいたいところですが、何とか官僚さんたちのコネクションの中で動員された人たちだろうというふうに、僕は推察いたします。

 そうではない。もっと十分な時間をかけるはずですよね。もし、市民の意見をサウンドする、つまり打診して、吸い上げて、そして議論を起こし、それをさらに吸い上げるというプロセスを重視するのであれば、議会に上程後、すぐに採決に持ち込もうとしたりすることはあり得ないし、あるいはパブリックコメントを非公開、情報開示しないということもあり得ない。

 つまり、こうした行政側の、つまり都側の出した条例の処理の仕方に、今回の条例の文脈、社会的文脈がよくあらわれていると思います。条例はこのようにつくられてはならない。そのように私は申し上げたいと思います。

〇西崎委員 最後になりますが、今、子どもたちの生きる能力が落ちているというお話でしたけれども、子どもの権利条約が批准されて、子どもたち一人一人が自己決定権を持っていると思いますけれども、その決定権を上げていくためにも、先ほど赤枝先生は、性教育は重要だというお話をしていました。やはり、不健全図書とか見せたくないものを排除していくことは、先生は、子どもの権利条約に反することではないけれども、その前提には子どもの尊厳、一人一人の子どもの尊厳が必要だというふうにお話しなさっていらっしゃいます。

 しかし、子どもが一番その被害を受けて問題だとだれもが認識しているんですが、今回の青少年の育成条例の中で、その子どもの救済については全然触れられておりません。むしろ、この条例ですべてを解決できるのではなく、個別な条例も必要ではないかと私たちは考えているんですけれども、先生はどのようにお考えでしょうか。

〇宮台参考人 二つの側面があります。子どもの自己決定というと、これは子どもの権利条約の中核概念ですが、日本ではやや誤解されがちなんですね。僕もよく聞きます。結局、親は何もいえないんですねと。違うんですよ。子どもの自己決定を認めるからこそコミュニケーションするんです。

 おれはこう思う。パパはこう思う。ママの意見は実は違うけれども、ママいって。ママはこう思う。で、君はどう思うんだ。え、そんなふうに思うの、ちょっと待ってくれよ、パパの意見は違うな。こういうふうに議論して、そういうことをやっちゃいけないとおれは思う。でも最後はおまえが決めることだ、おまえの人生だからな。なぜかというと、おまえが何が幸いなのかは、おれにはよくわからないから。ただ、人様を傷つけるなよ。

 つまり、こういうコミュニケーションをするために自己決定権は重要なんですね。コミュニケーションを通じて互いの違いと互いの共通基盤を確認し、前に進むために、自己決定権という概念がある。これはまず常識的なことですよね。

 それを踏まえた上でいうと、隔離することをもって子どものためになるんだと考える大人が、とても日本には多いのが残念です。先ほどいったことなので余り繰り返しませんけれども、どのみちノイズに触れるんです。親が見せたくないと思ったものに必ず触れます。そのときに子どもがうまく対処して幸せになる力を養うのが、親や大人の義務ではないでしょうか。

 自分の狭い了見の中で子どもを閉じ込め、子どもをかごの鳥にし、免疫なき、簡単にいえば自己対処能力のない存在にし、そしてそのような存在が将来大きくなると、何かというと行政の呼び出し線を使うようになる。そのような悪循環がどんどんどんどん際限なく回るでありましょう。そうした悪循環にはくさびを打ちたい、そういう思いをいたします。

〇小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。

 宮台参考人からの意見聴取はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇小磯委員長 異議なしと認め、宮台参考人からの意見聴取は終了いたしました。

 宮台さん、本日は貴重なご意見、まことにありがとうございました。心より御礼を申し上げます。

 この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。

http://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/soumu/d3010198.html

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