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有田芳生の『酔醒漫録』: 東京都青少年健全育成条例改正案の問題点 ーー都議会民主党は改正案に反対をーー

2010年6月、東京都青少年健全育成条例の改正案が都議会民主党などの反対で否決されました。それまで政治に直接に関わった事も無い多くの国民や漫画家、小説家などの表現者が反対の声を挙げ、メディアでも注目された結果でした。この改正案が形を変えて再び東京都議会に提出されました。石原慎太郎都知事は「実質的に前と同じ」と記者会見(11月26日)で語っています。

 東京都はわずか半年で新たな改正案を提出し、多くの懸念が寄せらているにも関わらず、充分な審議時間も与えずに、議会に決断を迫ろうとしています。東京都の職員はこの間PTAなどに自ら申し入れ、酷い漫画が野放しであること、その現状に対処するために青少年健全育成条例の改正案が出されたにも関わらず民主党などの反対で否決されたと説明して回りました。

こんどの改正案に対してちばてつやさん、秋元治さんなど著名な漫画家や、漫画家3団体、出版業界、日本ペンクラブ、東京弁護士会、出版労連、自由人権協会などが反対を表明しています。新改正案は文言こそ変えられていますが、3月提出改正案と同じ問題を内包しているからです。
 
 18歳未満の「非実在青少年」について拡大解釈の余地が大きすぎると懸念を生んだ第7条2項は、新改正案では「性的対象として肯定的に描写する」ことに対する規制は確かに無くなりました。しかしこんどの規制対象は全年齢の登場人物が対象となります。「性交及び性交類似行為」に関しては「刑罰法規に触れる」「婚姻を禁止されている近親者間での」と一見規制対象が明確で具体的になったように見えます。しかし「刑罰法規」という言葉は、刑法だけを指すように思われますが、実際は刑法だけでなく条例も含みます。どこからどこまでが「みだら」なのか。恣意的な拡大解釈が行われる前改正案と同種の懸念が生じます。

 物議を醸した「非実在青少年」という文言が削られた代わりに「漫画・アニメーションその他画像(実写を除く)」という文言が加えられました。なぜ実写だけを除くのでしょうか。都議会議員に対し都は「実写は既に規制されているから」と説明しています。

 つまり7条の1で規制されている「性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し」の部分とは別に、規制しなければならない表現が実写に無く、漫画、アニメーション等にはあるということでしょうか。まるで創作物による表現が、青少年にとって実写よりも有害で、悪影響だと言っているように思われます。

 自主規制である第7条2の項目から「強姦等の著しく社会規範に反する性交及び性交類似行為を不当に賛美・誇張するように描写した」表現が対象となる8条の不健全指定ですが、この項目にも問題があります。「強姦等の著しく社会規範に反する性交及び性交類似行為」の文言ですが、強姦は言うまでもなく犯罪です。しかし、社会規範に反する行為となると、倫理や道徳の問題も大きく絡みます。担当者の個人的な倫理や道徳観で規制基準が変わってしまう非常に曖昧な文言だと考えられます。

「不当に賛美し又は誇張」の文言ですが「賛美」はまだ判ります。ここで問題となるのは「誇張」という文言です。ご存知の通り漫画は淡々と同じ抑揚でストーリーが進むわけはなく、大きいコマがあったり、擬音や集中線があったり、見開きでページを丸ごと使ったりすることなど多くの「誇張」表現が使われるものです。映像でも「誇張」表現は沢山あり、作品構成上の重要な手法になっているはずです。性行為に限っているとはいえ「誇張」を理由に表現を規制されてしまうと、創作物による表現そのものが成り立たないのではないでしょうか。

 青少年のインターネット、携帯電話の利用について、フィルタリング機能(有害とされる機能への接続を遮断する)を利用しない保護者に業者を通じた監視が行われる可能性もあります。

 このように問題点を抱えたままの新改正案ですが、改善された部分も多くあります。単純所持禁止に関わる項目、まん延の抑止や、それに向けた活動に対し支援や協力を行う項目など、都議会議員たちが議論を重ね、削らせた部分も多々あります。だからこそ児童の健全育成もふくめた新たな取組みを模索している出版業界と同じく、今後とも多くの都民の意見を聞いて、業界や都民にとって本当に必要な条例案を模索すべきです。

 いま必要なのは、拙速な漫画狩りではなく、現実に被害に遭っている児童の保護やケアに対する施策ではないでしょうか。東京都だけでなく各地でも同様の議論が行われおります。人権擁護法案、児童ポルノ禁止法、青少年有害社会環境対策基本法など、本来の立法趣旨と異なった形での言論・表現を規制する動きは今後も続くでしょう。私はこのような動きに絶えず監視の目を光らせて行きます。

http://saeaki.blog.ocn.ne.jp/arita/2010/12/post_5406.html

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